あゆみの会について
あゆみの会は、1991年、国立小児病院内分泌科(現:国立成育医療研究センター)で診療を受けていた1型糖尿病患者とその家族有志により結成されました。
現在、未就学児から社会人まで幅広い年代の会員が在籍しており、たくさんの頼れる仲間がいます。
病気とは長い付き合いになりますが、ぜひ一緒に乗り越えて行きましょう。
ロゴ・キャラクター紹介
糖尿病とともに成⻑し、大人になり次の世代につなげていくという意味が込められています。
「あゆみん」
・みんなのキャラクター
ふたつの意味が込められています!
国立成育医療研究センター 内分泌代謝科診療部長
堀川玲子先生からのメッセージ
患者さん・ご家族同士の繋がりは、療養生活を続けていく上で、医療従事者がカバーしきれない点を補って下さり大きな助けとなっていること、時に心の支えとなっていることを実感し、大変有り難く頼もしく思っています。
今後この活動が継続的に行われ、発展していくことを祈っています。 私たちも、できる限りのサポートを続けていく所存です。一緒に歩んでいきましょう!
1型糖尿病とは
糖尿病には大きく二つの種類があります。
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを分泌する細胞が障害されてインスリン分泌が不足するために起こり、多くの場合インスリン分泌は枯渇します。 インスリンは、エネルギー源としての糖分を身体の細胞に送りこむ役割を担っています。インスリンがないと、細 胞は糖を取り込めなくなり、エネルギー不足となります。取り込めなかった糖は、うまく利用されないま ま血液の中に残り、それがあふれて尿にでてきて「糖尿」となります。
2型糖尿病は、インスリンは分泌されているがその効きが悪くなっているか、分泌量が十分ではなくな っているために起こります。2型糖尿病の多くは、生活習慣病で、肥満と関連しています。
1型糖尿病は「インスリン欠乏症」ですから、治療にはインスリンの補充が必須です。一方で、2型糖尿 病は、食事/運動の生活習慣を改善すること、そしてインスリン分泌やインスリンの効きをよくする(抵抗 性を改善する)経口糖尿病薬で治療しますが、インスリン注射も必要となることもあります。
1型糖尿病には、1a型と1b型があります。
1a型では、何らかの原因で膵臓のインスリンを分泌する細胞(ランゲルハンス島といいます)を攻撃する「自己抗体」 が作られ、その攻撃によってランゲルハンス島の機能が落ちてインスリンが作られなくなります。この何らかの原因には、 ウイルス感染、特に夏風邪などのウイルスに感染することで、そのウイルスに対する抗体を作ろうとしてウイルスと似た 部分のある膵臓の細胞に対する抗体を作ってしまうことと考えられています。診断は、発病時に血液の中にこの抗体(自己抗体、といいます)があることで確定します。
1b型は、インスリン依存性糖尿病であることは1a型と同じですが、1a型で見られる自己抗体が検出されないことが特徴です。
1型糖尿病では、生活習慣病によるところが多い2型糖尿病とは異なり、 体内のインスリンが不足しているため、外からのインスリン補充が絶対必要です。
インスリンは内服薬がなく、注射薬しかありません。そこで、体の中の生理的な インスリン分泌になるべく似るように、自己注射をします。注射は、ペン型注射器を使用して一日に4〜5回皮下注射を行う方法(頻回注射法)と、持続注入ポンプによるインスリン持続皮下注射の方法があります。
インスリン製剤は、長時間効いてインスリン基礎分泌分をカバーする「持効型」の製剤、 それより作用時間の短い製剤の「中間型」「速効型」「超速効型」「ウルトラ超速効型」があります。 頻回注射法では、持効型で基礎分泌分、超速効型で追加分泌分の組み合わせで治療をすることがほとんどです。 持続皮下注射法では超速効型製剤を使用しています。
インスリン注射がどちらの方法でも、血糖の測定が必要です。血糖自己測定の方法は、一回毎に血液を少量取って 測定する方法と、皮下に装置を留置して持続測定する方法があります。持続測定の方法は現在のところ2種類(リブレ、 デキスコム)ありますが、どちらも皮下組織中の糖分を測定して血糖値に換算しています。血糖測定そのものでは無い ことを理解しておく必要があります。
1型糖尿病の治療は、インスリン注射が基本ですが、食事療法、運動療法を加えた3つが柱となります。食事と運動は、 特に制限したり無理に行ったりしなくても大丈夫です。インスリン治療をきちんと行い、健康的な生活を送ること、 すなわち成長に必要な適度な栄養を摂取しつつ、適度な運動を行うことで、長期にわたり血糖を良好にコントロ-ルし ていくことが大切です。そうすることで、糖尿病の合併症も防ぐことができます。
インスリン・食事・運動の3つを上手に組み合わせれば、日常生活では特に制限はなく、給食、体育、学校の行事 (宿泊なども)は、他のお子さん達と同じようにして差し支えありません。学校や園での生活、行事等、一切制限 なく参加することが可能です。小児・思春期の場合は、発病前と同様の生活に戻って、食事も運動も普通に行うこと ができることが精神的にも大切であり、治療にとっても重要であると考えています。従って、ふだんの生活にインス リンを合わせる、という考え方です。
園や学校での血糖測定、インスリン注射のやりかたについては、本人・ご家族と園・学校との間でよく話し合って 準備を進めると良いと思います。
低年齢でまだ自分でインスリン注射・ボラスや量の調節ができない、血糖測定や低血糖の管理ができないうちは、 どうしても園や学校の先生方にご協力頂く必要があります。園や学校での血糖測定、低血糖にはどんな症状が出て、 血糖によりどのような処置が必要か、昼食時の注射は量をどのように決めるか、など表にしてお渡しするなどして おくとよいでしょう。
職業の選択は、特定の職種を除き可能です。特定の職種、というのは、公共機関の運転士さんです。電車・バス・航空機 などの運転士・パイロットなどは、もし低血糖を起こして意識が低下すると多くの人命に関わる可能性があるからです。 もちろん、低血糖を起こさないように普段から気をつけておくことが大切ですが、低血糖に気をつけるあまり、高血糖で 過ごすことが多くなるのは、言うまでもなく本人にとっていいことではありません。
就職の時に、1型糖尿病のことを言うか言わないか、迷うこともあると思います。そもそも、1型糖尿病は不摂生でなる 病気ではありませんし、血糖コントロールをするために本人もご家族も努力を重ねてきているのですから、堂々と胸を張って 頂きたいというのが医療者の願いです。しかしながら、企業によっては、就職試験でマイナスになる可能性が無いとは 言えないのが現状です。一方で、糖尿病の自己管理がきちんとできる、ということが評価されることもあります。 一番大切なのは本人の気持ちです。ちなみに、あゆみの会の先輩達は、製造業、金融業、教師、栄養士、看護師、薬剤師、IT関連企業、出版社、などなど、 様々な職種についています。
結婚・出産はもちろん可能です。結婚した方達がお相手を連れてきて下さるのはとてもうれしいことです。相手の方もしっかり 理解してくれている様子で、心配ないよ、と後に続くお子さん達に教えてあげたいです。また、素敵なお父さん、お母さんに なっている先輩がたくさんいます。男性も女性も、お子さんを望むときは特に血糖コントロールはしっかりするようにしましょう。 女性は、HbA1c 6.3%以下が妊娠の目安と考えて下さい。妊娠中はおなかの赤ちゃんへの影響を考えて5.8%以下のコントロール を目指すことが必要になります。父親・母親になった後は、自分のためだけではなく大切な家族のためにも健康で過ごせるように、 より一層しっかり血糖コントロールしていきましょう。
活動紹介
毎年次のような行事を行ってきました。
コロナ禍ではサマーキャンプは中止。糖尿病教室とクリスマス会はオンラインで開催していましたが、
2023年〜サマーキャンプを再開しています!
仲間からたくさんの刺激を受け、毎年子どもたちの大きな成長が感じられる3日間です。
また、既に大学生や社会人として活躍中の会員の話を聞いたり、意見交換の場を設けるなどしています。
医師、看護師の皆さん、製薬会社の方も参加してくださいますので、日頃の疑問点等をお話できる貴重な機会です。
思い出の写真集
会員の声
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お役立ちリンク集
国立成育医療研究センター
病院のサイト。成育に関する最新情報はこちらからどうぞ。
日本IDDMネットワーク
1型糖尿病の根絶を目指すNPO法人。研究団体への寄付を行なったり、定期的にインスリンポンプの講習会などを開催。
※1型糖尿病根治に向けた研究資金の寄付はこちらから
糖尿病ネットワーク
糖尿病患者と医療スタッフに向け、糖尿病に関する様々な情報を発信するサイト。
JRDA(the Juvenile Diabetes Reserch Foundation)
1型糖尿病のない世界を実現するため、アメリカを拠点として活動を行う世界的な非営利組織 (*English Website)