Q.
1型糖尿病とはどんな病気ですか?

糖尿病には大きく二つの種類があります。

1型糖尿病は、膵臓のインスリンを分泌する細胞が障害されてインスリン分泌が不足するために起こり、多くの場合インスリン分泌は枯渇します。 インスリンは、エネルギー源としての糖分を身体の細胞に送りこむ役割を担っています。インスリンがないと、細 胞は糖を取り込めなくなり、エネルギー不足となります。取り込めなかった糖は、うまく利用されないま ま血液の中に残り、それがあふれて尿にでてきて「糖尿」となります。

2型糖尿病は、インスリンは分泌されているがその効きが悪くなっているか、分泌量が十分ではなくな っているために起こります。2型糖尿病の多くは、生活習慣病で、肥満と関連しています。

1型糖尿病は「インスリン欠乏症」ですから、治療にはインスリンの補充が必須です。一方で、2型糖尿 病は、食事/運動の生活習慣を改善すること、そしてインスリン分泌やインスリンの効きをよくする(抵抗 性を改善する)経口糖尿病薬で治療しますが、インスリン注射も必要となることもあります。

Q.
1型糖尿病の原因は何ですか?

1型糖尿病には、1a型と1b型があります。

1a型では、何らかの原因で膵臓のインスリンを分泌する細胞(ランゲルハンス島といいます)を攻撃する「自己抗体」 が作られ、その攻撃によってランゲルハンス島の機能が落ちてインスリンが作られなくなります。この何らかの原因には、 ウイルス感染、特に夏風邪などのウイルスに感染することで、そのウイルスに対する抗体を作ろうとしてウイルスと似た 部分のある膵臓の細胞に対する抗体を作ってしまうことと考えられています。診断は、発病時に血液の中にこの抗体(自己抗体、といいます)があることで確定します。

1b型は、インスリン依存性糖尿病であることは1a型と同じですが、1a型で見られる自己抗体が検出されないことが特徴です。

Q.
どんな治療をしますか?

1型糖尿病では、生活習慣病によるところが多い2型糖尿病とは異なり、 体内のインスリンが不足しているため、外からのインスリン補充が絶対必要です。

インスリンは内服薬がなく、注射薬しかありません。そこで、体の中の生理的な インスリン分泌になるべく似るように、自己注射をします。注射は、ペン型注射器を使用して一日に4〜5回皮下注射を行う方法(頻回注射法)と、持続注入ポンプによるインスリン持続皮下注射の方法があります。

インスリン製剤は、長時間効いてインスリン基礎分泌分をカバーする「持効型」の製剤、 それより作用時間の短い製剤の「中間型」「速効型」「超速効型」「ウルトラ超速効型」があります。 頻回注射法では、持効型で基礎分泌分、超速効型で追加分泌分の組み合わせで治療をすることがほとんどです。 持続皮下注射法では超速効型製剤を使用しています。

インスリン注射がどちらの方法でも、血糖の測定が必要です。血糖自己測定の方法は、一回毎に血液を少量取って 測定する方法と、皮下に装置を留置して持続測定する方法があります。持続測定の方法は現在のところ2種類(リブレ、 デキスコム)ありますが、どちらも皮下組織中の糖分を測定して血糖値に換算しています。血糖測定そのものでは無い ことを理解しておく必要があります。

1型糖尿病の治療は、インスリン注射が基本ですが、食事療法、運動療法を加えた3つが柱となります。食事と運動は、 特に制限したり無理に行ったりしなくても大丈夫です。インスリン治療をきちんと行い、健康的な生活を送ること、 すなわち成長に必要な適度な栄養を摂取しつつ、適度な運動を行うことで、長期にわたり血糖を良好にコントロ-ルし ていくことが大切です。そうすることで、糖尿病の合併症も防ぐことができます。

Q.
将来、就職や、結婚・出産もできますか?

職業の選択は、特定の職種を除き可能です。特定の職種、というのは、公共機関の運転士さんです。電車・バス・航空機 などの運転士・パイロットなどは、もし低血糖を起こして意識が低下すると多くの人命に関わる可能性があるからです。 もちろん、低血糖を起こさないように普段から気をつけておくことが大切ですが、低血糖に気をつけるあまり、高血糖で 過ごすことが多くなるのは、言うまでもなく本人にとっていいことではありません。

就職の時に、1型糖尿病のことを言うか言わないか、迷うこともあると思います。そもそも、1型糖尿病は不摂生でなる 病気ではありませんし、血糖コントロールをするために本人もご家族も努力を重ねてきているのですから、堂々と胸を張って 頂きたいというのが医療者の願いです。しかしながら、企業によっては、就職試験でマイナスになる可能性が無いとは 言えないのが現状です。一方で、糖尿病の自己管理がきちんとできる、ということが評価されることもあります。 一番大切なのは本人の気持ちです。ちなみに、あゆみの会の先輩達は、製造業、金融業、教師、栄養士、看護師、薬剤師、IT関連企業、出版社、などなど、 様々な職種についています。

結婚・出産はもちろん可能です。結婚した方達がお相手を連れてきて下さるのはとてもうれしいことです。相手の方もしっかり 理解してくれている様子で、心配ないよ、と後に続くお子さん達に教えてあげたいです。また、素敵なお父さん、お母さんに なっている先輩がたくさんいます。男性も女性も、お子さんを望むときは特に血糖コントロールはしっかりするようにしましょう。 女性は、HbA1c 6.3%以下が妊娠の目安と考えて下さい。妊娠中はおなかの赤ちゃんへの影響を考えて5.8%以下のコントロール を目指すことが必要になります。父親・母親になった後は、自分のためだけではなく大切な家族のためにも健康で過ごせるように、 より一層しっかり血糖コントロールしていきましょう。